「前後のボケた素敵な写真」を撮りたいとよく相談を受けます。
ちょっと「写真のボケ」について、この頃思うところをツラツラ….
まずは、
明るい単焦点レンズ(高価)を購入する。
カメラメーカー・販売店さん喜びそうですね。間違いはありません。ボケル道具=絞りの開放値=光の通る穴のデカイレンズを買って、絞らずに=穴を小さくしないで一番開けた状態で撮影すれば、ピントが来ている前後は「ボケボケ」になってくれます。開放の絞り(穴)が大きければ大きいほどよくボケ、より高いレンズのようです。
さて、これだけで「素敵な写真」が撮れるのかというと。。。。
どうでしょう、
じゃ、そういう、よくボケル、高いレンズを持っていないと無理かというと、ピントが合っている部分とその背景を離してあげれば=距離を広げてあげれば「背景はボケてきます」
距離の問題でもあるんですね。
あと、
広角のレンズより望遠のレンズの方が背景はピントが来なくなりますね=ボケますね。
テクニック的にはこんな所でしょうか。フィルターを使うとか、後で画像処理をするとかいう方法もありますね。
でも大切な事は
「ぼかして何がしたいの?」って事ではないでしょうか。ぼけてりゃいいの?って事です。大体上に書いたことをすれば「ボケます」。それで終わりなら大したことない話です。よね。
ボケた写真を見ていたら
「ナント!画像が消失する」なんてことが私たちの「眼と脳」では起こるのです。
OLYMPUS OM-D + NOKTON42.5mm F0.95 絞り開放で撮影。
更に後処理RAW現像で明瞭度を下げきりました。
私たちは常に鮮明な映像を見続けていると勘違いしてますが、それは「中心視野」網膜の中心のほんの少しの部分だけ。それ以外の殆どの網膜=周辺視野はピントも来ていないし、実は色も感じないようです。
えっ、そんなことないよ!って思った方。視線を動かせばそこが「常に中心」なので気がついてないだけですよ。
どうやら、私たちは「脳の曖昧な解釈」からできた「影像」に気がついていないようですね。「ボケ」に対しても例外ではなく、私たちが無意識のうちになにかしらやらかしてそうです。
そういうことまで考えていくと、単に高価なレンズを買ったり、背景と離したりして「とにかくボケてりゃいい」のではないと言うことがみえてきませんか?
「写真はレンズで決まる!」なんてレンズメーカのコピーもありましたが、同じボケでもレンズによるボケ足の違いなんかも、実は脳が何かを感じているのかもしれませんね。
5月25日に東大で開かれます
「日本基礎心理学会」という学会の「基礎心理学フォーラム」の講演の中に
「佐藤隆夫(東京大学)「「ボケ」の機能とアート」というのを発見しました。残念ながら仕事でいけませんが、「ボケの機能」といわれてしまうとですね、単に「ボケてりゃいい」って話でないことは推察できますよね。
逆に写真の隅々までピントが来ている表現をする人もいます。これもまた、私たちの「脳」に何かを語りかけているのだと思います。
皆さんも是非素敵な写真を沢山見て「何故心が惹かれたのか」を自身の心の内奥・奥底へ問うてみて下さい。